影を往く者、闇に逝く者-戦国隠密伝-

初代が俺を見下ろす。

「分身は所詮忍術を知らぬ素人相手の児戯…同じ隠密にかかれば、完成度の低い分身などたやすく看破される…特に全ての体術の基礎は足捌き…故に足元を狙えば分身など脆い…そう教えた筈だがな」

そう。

初代は俺の全ての忍術を教えてくれた師。

俺の忍術の長所も短所も全て心得ている。

親にして師。

そして伊賀十人衆という伊賀忍軍の頂点にも立つ男。

まだ未熟な俺の太刀打ちできる相手ではなかった。

…またも初代が薄く笑う。

「お前はその程度だったのか?ならば里ごとお前を抹殺するという計画も、大袈裟すぎたやもしれぬな」