影を往く者、闇に逝く者-戦国隠密伝-

「え…!?」

俺の言葉で、百合が驚いたように反応する。

その隙を突いて!

「!!!!」

予備動作すらなく、父上…初代下山甲斐が手裏剣を打つ!

何が起こったのか把握できていない百合。

俺はそんな彼女に体当たりして、横っ飛びに手裏剣を回避した!

「初代様!」

地面に倒れたまま、百合が初代に向かって叫ぶ。

「どうしたのですか!私です!百合です!里で何度かお会いした筈です!お忘れになりましたか!?」

「止せ、百合」

俺は忍者刀を逆手に持ったまま、素早く立ち上がる。

「忘れたか…父上は…初代は伊賀を裏切ったのだ…謀反を起こし、信長に里を売った外道…」

その切っ先を、初代に向ける。

「我ら伊賀の仇敵だ…!」