影を往く者、闇に逝く者-戦国隠密伝-

言いかけて、ふと足元を見た俺は立ち止まった。

「…甲斐様?」

突然立ち止まった俺を見て、百合が不思議そうな顔をする。

…足元に、米が落ちていた。

五色に色分けされた米。

見たまま、これは五色米と呼ばれる。

隠密同士の暗号に使われるもので、五色の色の組み合わせで様々な意味を持つ。

大抵は後続の仲間達に状況を知らせる為に用いるものだ。

俺はその暗号を凝視する。

この組み合わせ…。

意味は。

「キ・ケ・ン・ニ・ゲ・ロ…!」

その意味を悟るとほぼ同時に。

「やっと本来の目的の獲物が現れたか…」