「おのれ!」

「逃げるか、百地丹波!」

兵士達が数人、頭領を追って走り出す。

その兵士達が俺の横を通り過ぎた瞬間。

「がっ!」

彼らの首は音を立てて地面に落ち、噴水の如く鮮血を噴き出した。

早業による斬首。

俺は忍者刀を振り、血糊を拭った。

「ここより先へは行かせぬ。頭領を追いたくば、まずはこの二代目下山甲斐を斬るがいい」

その身より迸り出る気迫。

その気迫に押され、天下の織田軍の兵士達がたじろく。

「来ぬのか?」

たった一人。

にもかかわらず、俺は十数人の兵士達を圧倒し、後退すらさせていた。