影を往く者、闇に逝く者-戦国隠密伝-

そしてそれが、やはりわしの老いた証である事を思い知る事になる。

「頭領!」

物見に出していた忍が戻ってくる。

その様子はいつになく狼狽し、動揺しきっていた。

「どうした?」

わしに代わり甲斐が問いかける。

「は…!」

忍は乱れた呼吸もそのままに告げる。

「信長の軍が侵入口より侵攻して参りました!その数およそ四万!信長め直々の指揮にてございます!」

「馬鹿な!」

わしは思わず立ち上がった。

「あの侵入口を、うつけ如きが発見したとでも言うのか!?」