初代を追ううちに、森の中へと入り込んでいた。

初代も隠密とはいえ、今は重い具足を身につけている。

装束のみを身につけている俺とは身のこなしからして差が出る。

動きづらい状態の初代に対し、俺は手裏剣を打つ!

風を斬るような音を立てて飛翔し、初代の背中に突き刺さる数枚の手裏剣!

しかしそれも。

「ちっ…」

虚を交えた動きと素早い動きを織り交ぜた体捌きで、具足のみを残して初代は消えた。

空蝉の術。

具足を囮にして手裏剣を回避したのだ。

大抵の隠密は空蝉といっても名ばかりでお粗末なものだが、ここまで高度な空蝉の術は初めて見た。

「初代!」

薄暗い森の中で、俺は叫ぶ。

「今更かくれんぼでもないだろう!正面切って相まみえようではないか!」