その時。

「!」

ピュイッ、と。

腕を後ろ手に捻られたまま、甲賀隠密が口笛を鳴らした。

途端に。

地面の枯れ葉に埋もれて。

頭上の木の葉茂った枝から。

暗闇の川の中から。

見通せぬ山林の奥から。

それぞれ得物を手にした装束姿の集団が突如出現。

私と甲斐様を取り囲む。

「…毒物流入の実行の他に、護衛の隠密がいたか…」

甲斐様が呟いた。