本来ならば名が知れ渡るのはまずい。

…しかし今の私には最早どうでもよかった。

甲斐様のいないこの世などに未練はない…。

むしろこの『毒百合』の異名につられて、信長の兵や初代が近づいてくる事は好都合だった。

伊賀の仲間の仇、甲斐様の仇。

毒百合の香りにつられ、蟲の如くたかるがいい。

その猛毒で殺してやる。

私の命と引き換えに、あの世に引きずり込んでやる。

復讐だけが今の私の生きがい。

仇討ちの為だけに、私は忍の腕を磨いていった。