ある日「バンド作りたい」って思ったから、作った。文化祭のライブ見て女がひとりもステージ立ってないのが気に食わなかった。ギター激うまい元ジャニーズの先輩にどうやって作れるか聞きまくった。メンバーを探しまわって、ジャズでバーとかにも出て歌うくらいのボーカルと、6歳の頃からドラムやっている天才と、キーボードと、ベースってか、音楽全般の天才と、ギター(リード)の6人がそろった。

なんと自分がリーダーのくせに一番しょぼかった。しかも、ギターのくせに、ギター無い。エレキってやつ。親にバンドしてますとか言えないからどうやって買おう。買えてもどこにおこう。
そんな時、こっそり連絡取っていたお姉ちゃんが私がバンドやるって聴いてすぐ、ギターを送ってくれた。ばれないように、友達の家に。届いたギターを何度も何度も抱きしめた。しかも聞きつけた中学の友達が「家においていいよ」って言ってくれた。学校帰りはそこに寄り、その友達と歌ったり弾いたり、なんと練習場所まで確保できた。
親には生徒会で学校残ります、といった。生徒会でもないのに。そんなこと言いながら連日深夜一時とかまでスタジオ練習とかの日々が続いた。さすがに親も激怒。ばれないように必死だった。初めの目標は文化祭のステージ。授業中寝たら「バンドの練習してたからって甘えるなよ!!やめてしまえ!」目をつけられていただけに先生の怒りも直球。立たされても寝ていた。そんなことが続くたび応援が逆に増えていった。不思議なものだ。
文化祭直前、練習もつめになってきた頃、職員室に呼び出された。
「文化祭出せません」
・・・・・・・・・・・はい!?
「君のバンドのボーカルがずっと前から学校に来ていない。そんなグループをステージに上げるわけにはいかない。」いろんなことがぐるぐるぐるぐる頭をめぐった。
それからずっとにらみあいだった。「来させます。一日でも遅刻したら学校中のごみを拾うから、出させてください。」先生もだまっちゃいない。「先生も毎日電話したり訪問したりしているんだ、そんなに簡単に出来るなら今頃とっくにきている」