中学生になった。少しだけ、世界が広がる。廊下ではチャリ乗っている先輩、歩きタバコしているやつ、シンナー瓶だらけのプール、全裸で運動場のど真ん中に立ってつかまった番長。生徒会でコントやって追い出される先輩・・・衝撃だった。なんて楽しそうな顔してるんだ。存在感の塊。自分と比べる。私のこと何人が知っているんだろうと。
地元福岡北九州は非行少年の人数が日本一といわれていた。近所の店の張り紙「タバコは16から」19で東京にくるまで本気で信じていた。
 ヤンキーに対して「お前らのような奴がいるから社会が乱れる」先生が理不尽な怒鳴り方するのが気に食わなくてよくたてついた。尊敬する人をけなされた感じ。はっきりいって、父より怖い人がいなかったから、何も怖くなかった。先生に負けたことはなかった。

そんなこんなでいつの間にか、「ヤンキーの友達の多い、5時門限のまじめな中学生」になっていた。ヤンキーは、妙に大事にしてくれた。初対面にはシンナーを勧められることもよくあったが、「Yにそんなことさせたらタダじゃおかんけの!」と返事を言う前に仲間が勝手に断ってくれる。

 でも仲良いやつで、3年いきなり学校に来なくなったやつがいた。風のうわさでシンナーにおぼれてぼろぼろになったときいた。一度シンナーにおぼれてからというもの、シンナーの怖さを皆に教えてまわっていた奴だった。ねずみ講やっていた友達もどこかに行ってしまった。いつも邪魔者にされていた「問題児」たちは、私の中では、本当はすごく繊細で、もっと甘えたい、優しい心の持ち主だったんだよなぁ。なんかすごく、悔しかったよ。むしろ彼らの、自分を信じて突っ走る生き方に尊敬の念を抱いていたのだから。私の環境では無理だと決め付けていたけど。