そんなころ、友達のために、お金が必要になった。どうしても欲しかった。「このバイトをすれば儲かります。」パチンコエキストラバイトだった。
はじめに担当者と電話をする。「使う目的がありますか?」
担当者は続けた。「いきなり大金を持つようになりますので、しっかりとした理由がないと、このバイトをして人が変わる方もいらっしゃいますので、私は心配です。場合によっては、承諾致しかねます。」リアルだと思った。「はい。友達が今大変で、力になりたくて・・・」
「それはおつらいですね・・・」あまりに親身に話を聞いてくれるので話しながら泣いてしまう。「一緒にがんばりましょう。Yさんのために私も全力を使います。」
詐欺だった。 頭が真っ白になった。警察に連絡したら「最近多いですね。そんなうまい話あるわけ無いじゃないですか」と笑われた。電話を切って、次の日になるまで部屋でぼぅっとしていた。思考停止。まっくらな部屋にいたのを同居人に驚かれたから「ああごめん。考え事していた」って笑っといた。
親にいえない。弁護士に相談するお金もない。色んな資料かいてと言われたが、そんな暇も無い。お金返ってこなかったら、稼げても無いまま、時間がたつんだと考えた。ちょうど夏休みになったところだった。いま働かなきゃ。学校始まったら返せなくなる。
稼いだお金で友達に渡せたら、自分の夢に使うつもりだった。いろんな夢が、一度に消えた気がした。