お昼休みの生徒会室。
持参したお弁当を口に運んで行く架の隣で、


「良いー? 生徒会室を出たら真っ直ぐに二年生の校舎に向かって……ここちゃんのクラスに行くでしょ?」


「…………」


何故か生徒会室から絆のクラスまでの道筋が書かれた地図を手にした咲奈が、入り口の前に立っていた響生の顔を覗き込み、


「ここちゃんを見付けたらまず、『何もしないから生徒会室まで一緒に来てください』って言うんだよ? 一回ここで言ってごらん?」


地図の下にご丁寧にも書き込まれた文字を、指で追いながら読み上げるように促している。


「何の真似だよっ!」


堪りかねた響生は持っていた地図を払い落とし、眉間にシワを寄せた厳つい顔で咲奈を見下ろした。


「あーっ! せっかく響生の初めてのお使いだから、気分を盛り上げてあげたのにぃーっ!」


響生に払い落とされた地図を拾いながら、咲奈はこう言ってプリプリと怒り出す。



「うるせぇっ! 何が初めてのお使いだっ!」



それに噛み付く響生に我関せずと水筒のお茶を啜りながら見つめる架は一人、お茶の間の視聴者気分だ。