屋上に続いて、生徒会室の前でも響生の暴言を食らった絆。
それを振り払うかのように駆け寄った先は、
「澪ちゃんっ」
仕事の途中で通りかかったという澪路の待つ校門だった。
「おかえり絆」
久しぶりに見る絆の制服姿に、優しく笑いかけた澪路が頭を二~三度撫でる。
撫でられた絆は嬉しそうに笑って、澪路の腕に飛び付いた。
「仕事終わったの?」
「途中だよ。車で移動してたら学園の前通ったからな」
こう言いながら澪路が門の傍に停めていた車の後部座席のドアを開くと、
「おかえりー。ちゃんと行ったみたいね」
「……ママ」
満面の笑みで雅が絆を出迎えた。
ムッと唇を尖らせて澪路を睨み付ければ、
「怒るなって。雅さん、絆が学校に行ったって連絡受けて上機嫌でさ」
苦笑いを浮かべた澪路に促され、渋々雅の隣に腰を下ろした。
窓越しに運転席に回る澪路を目で追っていた絆に、不意に声が掛かった。
「どう? 学校生活も悪く無いでしょ?」
「……最悪だよ」
澪路の言うとおり機嫌の良さそうな雅の顔を一瞥し、視線を運転席の澪路に戻した。