「響生ー……いい加減出て来なよー」


屋上から飛び出して行った響生は、そのまま勢い良く生徒会室に駆け込んでいた。


慌てて咲奈が追い駆けたものの、


「う、うるせぇな……気分が悪いって言ってんだろっ」


部屋の内側から鍵をかけ、完全に引きこもり状態。



その後の授業も一切受けず、様子を見に来ても扉はピクリとも動かない。


さすがに放課後になっても出て来る気配のない響生に、


「ったく……面倒くさいなぁ、響生は」


如何にも架は邪魔くさそうな顔で、ガンガンと扉を蹴飛ばしてる。


「ちょっとっ。そんなことしたら余計に出て来なくなっちゃうよっ」


遠慮なく扉を蹴り続ける架に気が気じゃない。

ただでさえさっきの一件でナイーブになって、頑なに扉を開けようとしないのに……。


「……大丈夫大丈夫」


心配そうな面持ちの咲奈にこう言ってにっこりと胡散臭く笑って見せ、



「響生、気にするなって。あんだげアホアホって貶してた絆嬢に惚れたからってバカにしたりしないから」


「惚れてねぇよっ!」


頑として開かなかったドアも、架の手に掛かれば容易い。