持っていた紙袋を差し出すより早く、淡々とした響生の声が絆の言葉を遮った。 目を丸くして響生を見上げ続ける絆を見据え、 「だからもう、来るな」 言い放たれた言葉は絆の思考を一気に止めさせた。 呆然とする絆を残し、身を翻した響生が颯爽と生徒会室に消えた。 廊下の隅に一人残された絆が、手元に視線を落とす。 その手はいつか、響生が美味しそうに食べていたアップルパイが入った紙袋を、ただ力無く握っていた。