『響生。……キミはどうする?』
玲於に投げ掛けられた質問が、ずっと頭から離れない。
あの時すんなりと答えなんてものが言えていれば、きっと自分は女々しく嫉妬なんてしてなかっただろう。
それが言えず、未だにこうして頭を悩ませているのはきっと、玲於に言い当てられてしまったから。
『だったら、キミが嫉妬するのはおかしいよ。だって響生は、絆の特別になるコトを放棄したんだから』
……ホントに自分が絆の傍に居たい理由。
答えは要らないと言った自分への矛盾に、苛立って仕方がなかった。
「……ねぇ、なんであんな超不機嫌なの?」
朝からずっと無口だった仏頂面の響生を生徒会室に残し、放課後の廊下を歩く幼なじみたちは揃って眉を顰めていた。
「昨日玲於に言い負かされたの引きずってんじゃねぇの?」
呟いた架の言葉で二人の脳裏に浮かぶのは、昨日の響生の負け犬姿。
この話題に下手に触れることも出来ず、一日中仏頂面を拝んでいたが……いい加減ウザイ、と架は思う。
かと言って、どうにかしてやろうなんて気持ちは毛頭ない。