この間の、勝手について来た上に響生が一人テンパりまくったお泊まり会以来、
「じゃーんっ」
ほぼ役員の私物化した生徒会室では、
「美味しそう!」
勉強会と称したお茶会が恒例となりつつあった。
得意気な顔付きで、今日はお手製のアップルパイを差し出した絆に、
「だから、スウィーツなら絆嬢で良いって毎回言ってるのにー」
毎回飽きもせず胡散臭い笑顔で、その手を握る架。
「……食べても美味しくないよ。わたし」
「食べてみなきゃわかんないよ?」
毎回繰り返されるやりとりに、毎回同じ受け答えで返す絆も恒例と化してる。
そして、
「あっ! またっ!」
架と絆が恒例のやりとりを行う傍ら、咲奈が紅茶の用意をしている隙に、
「響生! 一人で食べちゃダメ!」
響生が絆のお手製スウィーツの三分の一を、どこからともなく用意したフォークでたいらげてしまうのもまた、恒例となっていた。
「全くー。毎回毎回油断も隙もないっ」
とり憑かれたように黙々とフォークを動かす響生から、咲奈がアップルパイを奪還する。