「まだ好きなんだな……」
俯く私の横で、先輩は呟いた。
「解ってるんです……前に先輩に言われた通り、お兄ちゃんとじゃ普通の幸せな未来が来ない事なんて……。お兄ちゃんも、きっとそれは望んでないと思います」
「唯……」
「それなのに気持ちはお兄ちゃんの元に留まったままで、動かないんです……。だからその気持ちから目を逸らしてる。向き合うのが怖いんです……」
「それは兄妹だから?お兄さんが悪魔だから?」
「……多分、どっちも」
膝の上で握った拳にポタリポタリと涙の粒が落ちる。
すると、不意に先輩に横から抱き締められた……
「…っ!?」
「そんな顔をするな。悲しむ唯を見たくない……」
「……先輩」
「俺にしとけよ……俺なら唯を悲しませる事はない。また昔みたいに戻って一からやり直せないか……?」
私は返事をする事が出来なかった。先輩となら忘れられるかもしれないと思う反面、先輩をちゃんと好きになれないかもしれない――
そんな風に考えてしまった……
それほどまでにお兄ちゃんの存在が大きいのだと、改めて思い知らされる。
私はどうするべき……?
