少し走ると先輩は速度を落として話しかけて来る。
「ごめんな。余計疲れさせちゃったか?」
「だ、大丈夫ですっ」
手を繋いだまま優しい笑顔で聞いてくる先輩に、どぎまぎしながら答える。
ちょっと不意討ち……
繋がれた手先が少し熱かった。
目的の場所に着くとやはり人は多かったものの、何とか4人分の場所を確保した。
周りには家族連れが多く、パパ、ママと遊ぶ小さな子供たちを見ると何だか眩しく見えた。
私たち家族にも、こんな時があったんだっけ……
そんな事を考えていると、ふと先輩から声をかけられた。
「なぁ、唯……。唯はまだお兄さんの事が好きなの?」
先輩を見ると、視線は兄妹仲良く遊ぶ子供に向けられていた。
「それは……。考えないようにしてます……」
「考えないように……?」
「先輩は悪魔の事ってよく知ってますか?」
「よくかは解らないけど、基本的な事は知ってる……かな」
「悪魔のエネルギーについては解りますか……?」
「…………ああ。知ってる」
そう答えて私を見た先輩は驚いていた。それはきっと、私が涙を流していたから……
「唯…………」
ずっと気にしないようにしてきた。どこかに気持ちを閉じ込めて、見ないフリをしてきた。
兄と妹だから……
