遊園地に行く当日、お兄ちゃんは朝から不機嫌です……




「そんなになるなら来なきゃいいのに……」

「……お兄ちゃんには、唯を守る使命があるんだ」

「別に先輩も尚哉くんも、危なくなんかないよ?」




先輩はあれ以来、元の優しい先輩に戻った。私を諦めないと言ってくれてからも特に迫ってくるとかはなくて、むしろ少し遠くから見守ってくれてると言うか……

あ、でも両親の離婚で悩んでた時は少し怒られたっけ……余り抱え込み過ぎるなって。
ちょっとドキッとしちゃったんだよね。




「唯、何顔を赤らめてるんだ?」

「えっいや何でもないよ!ほら次の駅で降りなきゃ」

「……何だ?お兄ちゃんとの××を思い出……
Σバ…………



さすがに公の場所じゃやめとこ。

お兄ちゃんは直前まで繰り出された拳に固まってる。お兄ちゃんには学習能力がないのかなぁ……?




「お兄ちゃん、降りるよ!」



目的の駅に着いた私は、お兄ちゃんを引き摺り降ろす。




「もう!小さな子供じゃないんだから、ちゃんとしてよねっ」

「ゆ、唯……怖い」

「誰のせいよ!!」




まだ目的地に着いてさえないのに、疲れた……


あ……。わざわざ電車で来なくても、お兄ちゃんに飛んで連れて来て貰えば良かった……

はぁぁぁぁ……