「お兄ちゃんが悪魔だなんて証拠でもあるんですか?」
「証拠?今、唯に見せられる確固たるものはない」
「じゃあ、どうしてそんな事を言うんですか……?」
先輩はもう目の前まで来ていた。逃げ道は……ない。
「悪魔が近くに居る事は、ずっと気づいていた。猫の姿でも悪魔である事は隠しきれないからね」
「…………」
「それから葵と2人の唯が屋上に居た時。びっくりしたよ。まさか悪魔の正体が、唯のお兄さんだったとはね」
あの時は、確かイグルスさんが記憶を消したはずじゃ!?
先輩は私の肩に手を置くと、壁に押し付けた。
「ハンターの血筋は、悪魔の呪文に対する耐性があるんだよ。全く効かない訳じゃないから困るんだけど。ま、あの時の記憶消失の呪文は余り意味がなかったって事だ」
「そんな……」
ここまで来たらもうシラを切るのも限界、かな……
私は深呼吸してから先輩を真っ直ぐ見据えた。
「先輩から離れないって言うのは、今までみたいに付き合うって事ですか?」
「そうだね。でもそれだけじゃつまらないな」
そう言って、先輩は私の耳元まで顔を近づけて囁いた。
「とりあえず、悪魔になったお兄ちゃんを紹介して貰おうかな」
「お兄ちゃんを……?どうするつもりなんですか?」
「お兄さんには何もしないよ。唯が約束を守るなら、俺も約束しよう」
「…………解りました」
