「先輩、他の人たちは?」
生徒会室につくと、部屋はガランとしていて誰もいなかった。
「今日はみんな用事があったみたいでさ、帰っちゃったんだよ」
「会長も……?」
「ああ、葵は先生との話し合い。本当は俺も行くはずだったんだけど、葵に邪魔って言われてね」
先輩は苦笑してた。その表情を見てると、やっぱり好きだったんだなぁって思う。
けれど、それは恋じゃなかったのかもしれない……
先輩と居ると、ほんわか優しい気持ちになる。
お兄ちゃんと居ると、たまに苦しいくらいドキドキする……
「それより唯の話しって?」
「あ、えっと……その……」
何か告白した時より緊張する……
でも、ちゃんと言わなきゃ!
「唯と別れて下さい!」
私は先輩を見るのが怖くて、お辞儀をしたままの体制で返事を待った。
「……ダメだよ」
「え……?」
「唯は俺のものでしょ?」
思わず顔を上げた。
雰囲気や口調は、いつもと変わらない。でも……
それでも流される訳にはいかないと、気を引き締めて再度告げる。
「他に好きな人が出来たんです。こんな気持ちで先輩とは付き合えません……。本当にごめんなさい!」
「……だからダメって言ってるだろ?他に好きな人?誰?学校のヤツ?」
表情は優しい先輩のままなのに、その瞳の奥に怒りを感じる……
怖い……
先輩はだんだんと近寄ってきて、ちょっとずつ私との距離が縮まっていく。
私も後退るけど、限りある空間。ついに右足の踵が壁に触れた……
