「おい、唯っ!!」
お兄ちゃんの声が後ろから聞こえた。それを無視して走った。
いざとなればお兄ちゃんは飛べるし、逃げても意味ないのは解ってた。
でも……動かずにはいられなかった。
近くの公園に来た私は、1人ぽつんとベンチに座って星を眺めてた。
こんな所でも、星って見えるもんなんだぁ……
夜空がだんだんと霞んでゆく。そして一筋の涙が頬を伝った。
「お兄ちゃん……」
私、お兄ちゃんの事が好きなのかな……?
お兄ちゃんなのに、もう死んじゃってて人間じゃないのに、先輩がいるのに……
いつの間にか、頭の中はお兄ちゃんでいっぱい……
私は膝を抱えて踞(ウズクマ)ってた。
「唯……」
いつの間にか、目の前にはお兄ちゃんが来てた。
でも、私は顔を上げる事が出来なかった……
「唯、違うんだ……」
「…………」
「唯が嫌だとか駄目なんて全然思ってない。キスをやめようって言ったのは、俺自身の問題だ」
その言葉に顔をゆっくり上げた。
お兄ちゃんは目の前で膝まずき、私と視線の高さを同じにした。
「泣いたのか……?」
涙の跡をお兄ちゃんの指がそっと拭う。
私とお兄ちゃんは、無言のまましばらく見つめ合っていた……
