お兄ちゃんは悪魔サマ

  


時間が止まったかのように、私もお兄ちゃんもイグルスさんも動かなかった。




「ゆ、ゆ、ゆ、唯っ!?」



少しの間をおいて我に帰ったお兄ちゃんは、ずいぶん慌てていた。

その顔は真っ赤になってる。




「お前、どうして……?」

「だってお兄ちゃん、辛そうだったんだもん……だからつい」

「ついって、お兄ちゃんはお兄ちゃんだぞ!?」

「解ってるよ……」



でも、辛そうなお兄ちゃん見てたら勝手に体が動いてた。
早く元気なお兄ちゃんに戻って欲しくて……




「あっ、陵!傷は!?」



思い出したようにイグルスさんがお兄ちゃんに尋ねた。




「あっ……、ああ」



お兄ちゃんは自分の服をめくり、左脇腹を確認する。
そこにあった傷痕は跡形もなく消えていた。




「治った……」

「良かったぁ。お兄ちゃん、感謝してよねっ!」

「もちろん。唯のおかげだ。ありがとう」




お兄ちゃんの笑顔に、トクンと心臓が反応した気がする。

何だか顔が熱い……




「唯さん?どうかしましたか?」

「えっいや、何でもないです!!」





顔、赤くなってないよね……?