気がつくと、私は自分のベッドに寝ていた。
「ここは……」
「目が覚めましたか?」
横に居たのはイグルスさんだった。手に本を持ってるのを見ると、わざわざ私が起きるのを待っててくれたのかな……
「あ、お兄ちゃんは……?」
「隣の部屋で休んでいます。まだ傷も治ってませんから、しばらくは動かない方がいいでしょう」
「……イグルスさん。私お兄ちゃんの事、全然知らないんです」
イグルスさんは、少し不思議そうな顔をして聞いて来た。
「知らないって、唯さんのお兄さんですよ?」
「……悪魔になったお兄ちゃんの方です。毎日何をしてるのか、何の為に悪魔になったのか。教えてくれないんです」
イグルスさんは少し考え込んでる様子だった。
「唯さん。何故、陵が悪魔の契約をしたのか。それは私からは答えられません」
「……そうですよね」
「でも、陵はあなたを誰よりも大切に思っていますよ。それは私が保障します。だから悪魔になったんですから……」
その時、フッとイグルスさんの瞳から悲しみが感じとれた。
理由がわかったのはずっと後だったけど……
