お兄ちゃんは悪魔サマ

 


「イグルスさん、悪魔って……」

「あそこです!」



私の声を遮り、イグルスさんは急降下を始めた。
目指す先にあるのは雑然とした廃墟ビル。


あそこにお兄ちゃんがいるの…?



近づけば近づく程、不気味だった。昼間だと言うのに、建物の中に光はほとんど入ってなくて薄暗い。


埃っぽい通路の奥にお兄ちゃんは居た。
血まみれで……




「お兄ちゃんっ!!」



近寄ると、私にも深刻であろう状況が見てとれた。
左脇腹にはっきりと刺されたような傷がある……

お兄ちゃんは息も絶え絶えで、何とかそこに存在している感じだった。




「イグルスさんっ、どうすればいいの?」

「早く精気を!!」

「ど、どうやって……?」

「陵は動けない。唯さんから口づけを」

「え?キ、キスするの?」

「迷ってる暇はない!早く!!」

「…………」




躊躇う私に、イグルスさんが声をあらげる。




「早くしないと、陵はこの世にもあの世にも、全てにおいて存在が消滅する!!!!」





その言葉に突き動かされ、私はお兄ちゃんの口に自分の唇を重ねた……