先輩の手を引きながら中に入って行く。
何か前はもっと嫌がって、最初は随分苦労して先に進んだ気がしたんだけど……
先輩は時折現れる人形や仕掛けに若干驚きながらも、次々に鍵などを見つけては先に進んでいく。
「先輩、全然平気そう……」
「だから、大丈夫だって言っただろ?」
「うん……そうなんだけど」
前もこんなだったっけ……?
何となく違和感を感じるのに、それが何か解らなくてもどかしい。
私は先輩をボーっと眺めながら、頭の中で自問自答を繰り返していた。
だって、先輩以外と遊園地とか来る人なんていないし……
家族で出かけたのなんて随分昔の話で、尚且つ一緒に入ったのはお母さんだった。
「唯?先進むぞ」
「あっ、はい!」
慌てて先輩に近寄り先に進むと、今までより少し広めのフロアに辿り着いた。
あれ?ここ……
「ねぇ先輩……、前にここに来た時って喧嘩してた?」
「喧嘩?どうしてそう思うの?」
先輩は次の鍵を探すのを止めて、こちらに近寄って来た。
目の前に現れた先輩の顔にドキッとする。
優しく微笑む先輩……
でも、やっぱり何かが違う……