唯が退院して少し経った頃、俺はずっと考えていた事を実行するタイミングを見計らっていた。
一番可能性が高いのは、唯が誘拐されて閉じ込められていたあの屋敷。
だが、あそこは唯が酷いショックを受ける可能性がある……
そして考えたのは、俺と尚哉、唯と陵さんの4人で訪ねた遊園地だった。
季節は冬の入口。
暑かったあの頃と若干景色は異なるものの、変わらずそこに存在するアトラクションの数々。
唯はただ、デートだとはしゃいでいた。
記憶を辿る様にアトラクションに乗って行くが、特に唯に変化はない……
「唯、楽しいか?」
「はい!だって先輩と遊園地なんて久々だし!」
「……そうだな。次どこ行きたい?」
「ん~お化け屋敷かな!あ、でも先輩って苦手でしたよね」
「…………え?」
お化け屋敷が苦手?
まぁ確かに好きか嫌いかと聞かれれば、好きとは答えない。
だが決して苦手と言うほどの事でもなく、以前唯と入った時はさっさと終わってしまった。
もしかして……?
俺の頭の中に、1つの予感が過ぎった。
