屋敷に戻って陵の居る部屋に入った。すると、陵は部屋の隅に踞っている。
「陵……?寝てるのか?」
返事はない。
俺の横をすり抜け、兄貴が陵に近寄る。
軽く肩を揺さぶるが、反応がないみたいだ。
嫌な考えが頭を掠める。
「兄貴、陵は……?」
「……おそらくエネルギーが尽きかけているんだろう。かろうじて息はしてるし、消滅してる訳じゃないからな」
「でも、ヤバいよな」
兄貴は黙って頷く。
エネルギーの補給に必要なのは精気……
精気……女……だよな?
「兄貴、誰か連れてくるとか出来ねぇかな?」
「連れて来たところでどうなる?陵さんとキスしてくれとでも頼むのか?」
「……じゃあ紗香とか」
「悪魔同士でか?ちゃんと話を聞いた事があるわけじゃないが、無理だと思う」
じゃあどうすればいいんだ!?
もし陵がここで消えてしまっても、明日唯が死ぬという現実は変わらないはず……
下手したら2人ともが居なくなるのか……!?
そんな最悪の結末が思い浮かぶ中、兄貴は陵の傍で何やら考え込んでいる。
真剣な表情を浮かべて……
「一か八か、不本意だが試してみるか……」
そう言って陵を起こし、顔を近付ける兄貴……
ってマジかよ!?!?
