『あっ、ごめんなさい……』
俺が怒鳴った事で、電話の向こうの紗香は少々怯えてしまったようだ。
謝る声が若干震えていた。
「あ~お前の事じゃねぇから!だからそんな声出すなよ」
『でも、私が番号確認してなかったから……グス』
「だぁぁぁ!泣くなっつーの!!」
Σバコン
「いてっ!!何だぁ!?」
不意に後頭部に感じた衝撃に振り向くと、そこにはコンビニの袋を片手に俺を睨む兄貴が……
「あ……お兄様……」
「気色悪い呼び方するな。っつーか、こんな場所で叫ぶなよ!!警察に通報されるぞ?」
「そんなにうるさかった?」
「そりゃもう。コンビニの店が振動するくらい」
「大袈裟だっつーの……」
まぁ……確かに、おもいっきり腹の底から叫んだけど。
でも警察に通報されちゃかなわない。陵の所に帰るか。
『……っ!』
「ん……?」
ふと気づけば、携帯から小さな声が漏れてきている。
そーいや、通話中だった。
兄貴が来たから、すっかり忘れてた。
俺は再度携帯を耳にあて、紗香にかけなおすとだけ言うと一方的に切った。
