*尚哉side*
陵をあの不気味な屋敷に残し、兄貴と少し離れたコンビニに来ていた。
陵は大丈夫だと言っていたけど、実際かなりヤバそうに見えたのが気がかりだ。
俺も長年ハンターをしていたから、何となく悪魔の状態っつーかその辺が解るんだよな……
「兄貴、俺もう一回紗香に連絡してみるわ」
「そうか……。尚哉、一度こちらと合流するように言ってみてくれないか?」
「合流?」
「どうも陵さんの様子が気になる」
やはり、兄貴も同じように感じていたらしい。
まぁ兄貴も一応ハンターのはしくれだからな。
といっても、陵から話を聞いた時点でハンターなど続ける気は失せてるけど。
むしろ出来るもんなら、神と魔王を狩りたい。
「尚哉?」
「あっ、解った。言ってみるよ。俺の夕飯適当に買っといて」
俺はコンビニから出ると、携帯を取り出す。少し路地裏に入り電話をかけた。
紗香と連絡を取ると言っても、電話するのはイグルスの携帯だ。
紗香は携帯なんて持ってねぇからな。ってか、悪魔のくせにイグルスや八城が何で携帯を持ってるかの方が不思議。
しかもプリペイドとかじゃなくって、普通に契約したやつ。
いや、今はどうでもいいんだけどさ……
数回のコールの後、電話が繋がる。
「もしもし?」
『あ、尚哉さん。そっちはどうですか?』
「特に進展なし。そっちは?」
『こっちもです。ただイグルスさんと、八城さんは気になる事があるってどっかいっちゃいました』
「は……!?」
こんな肝心な時にどっかじゃねぇよ!!
まったくあの馬鹿どもは何考えてんだか!
「あのさ、紗香ってテレパシーみたいなのでイグルスとかと連絡取れるか?」
『いえ……』
「あー……、じゃあ八城の携帯教えてくれ」
『……聞くの忘れてました』
終わった……
ってあいつ等、ホントに何考えてんだよ!!
「あんの、役立たずどもがぁぁぁ!!!」
閑静な住宅街には不釣り合いな俺の怒鳴り声が、街に響き渡った……
