「俺さ、今まで何の為にハンターとして悪魔を捕まえてきたんだろ……。皆、誰かを助けようと必死だったんだな……」
「尚哉、今は考えなくてもいい。俺たちは、悪魔を捕まえることが義務のように育てられてきた。だからそれが当たり前だった」
「兄貴……」
「今、大切なのは後悔する事じゃない。俺たちにはやるべき事があるだろ?」
悠哉の言葉に頭を切り替え、力強く頷く尚哉を見て、少し頼もしいと思った事は内緒だ。
それから、復讐の為に悪魔になる奴等は少し事情が違う。
魔王曰く、これは復讐というものに囚われてしまった悪魔の、なれの果てを見るのが楽しいから……だそうだ。
とことん悪趣味だが、魔王を創ったのは神であり、魔王にしてみればそれが当たり前の事らしい。
「魔王に反乱しようとした悪魔はいなかったのか?」
「いないだろうな。対峙してみて解ったが、あれは悪魔がどうこうできる存在じゃない」
「それは魔王が強いからですか?」
「強いだけじゃない。悪魔がそう創られているからだ。絶対的存在とでもいうのか……」
その前に、魔王と言う存在すら知らない悪魔も多い。
そして、悪魔になれた事に感謝する人間が殆どだと思う。
例えどんな目的で悪魔が創られていたとしても、愛する者を助ける(もしくは憎い輩に復讐する)チャンスを与えられた事には変わりがないのだから――
俺もその1人だしな……
神と魔王の真実を知った上で、今、悪魔を辞めたいかと言われれば、少なくとも俺は悪魔のままでいる事を望む……
