「っていうか何でついて来たんだ?お前は魔界に来た事はあるのか?」
「1回だけありますよ!試しにやってみろって言われて」
「誰に言われて……?」
「私を悪魔にしてくれた人です。すぐにいなくなっちゃったんですけど……」
そういえばそれも気になる。
普通、イグルスみたいにしばらくはスカウトした悪魔が傍にいるはずなんだが……
「まぁ話はまた後でだな。ここじゃ危なすぎる」
「危ない?」
「ああ。こんな弱っちぃ悪魔なんて、絶好の獲物以外の何物でもない。行くぞ」
「きゃあっ!?」
俺は紗香の腰を引き寄せると、一緒に空へと飛び立った。
少し上から見下ろしてみると、そこかしこの岩の陰に何匹かの魔物が身を潜めていた事に気づいた。
なんで襲ってこなかったんだ?
そんな疑問が一瞬頭を過ぎったが、戦わずして済んだならそれが一番良いに決まっている。
何せ時間がない……
早いとこイグルスと八城を捜さないと。
