「八城先生」
私が保健室のドアを開けると、先生は机に向って書類か何かに書き込みをしていた。
「意外と早かったな。その分じゃ、どうしていいか解らなくてどうしようもないって所か?」
「……先生なら何か知ってるんじゃないかと思って」
先生はこちらを見ようともせずに、ただ作業を進めている。
「まったく、書類の提出なんてマジめんどくせぇ」
「……先生、お願いします。何かあれば教えて欲しいんです!!」
「教えたところでどうなる?俺には何のメリットもない。そもそも、俺はお前らを引っかき回したら楽しそうだと思って近づいたんだぞ?」
「お願いします!お願いします!!」
私はただひたすら先生に頭を下げた。それ以外にはもう何も残されていなかったから…
しばらくすると先生はため息をついて、こちらに近づいて来た。
「悪魔の契約を覆せる方法があると噂では聞いた事がある。だが俺はその噂が本当なのか、根も葉もない嘘なのかも解らない」
「その噂の内容は知ってるんですか!?」
「……残念ながら、俺は詳しくは知らない。どうにかしたければ自分で何とかしな」
「そんな……」
先生は私の横を通り過ぎ、保健室のドアに手をかけた。
「お前のタイムリミット……あと1ヶ月ないぜ」
絶望感に打ちひしがれる私に、追い討ちをかけるように後ろから先生がそう言った。
あと1ヶ月もない……
思ってたよりもずっと迫っていたその時。
私はただ、そこに立ちつくすしか出来なかった……
