お兄ちゃんは悪魔サマ

  


「イグルスさんは、その妹さんが亡くなられた時に何か話したりしましたか……?」


「いいえ……。私は妹を守れなかった事実から目を背けてしまったんです。今は、後悔しています」



イグルスさんは窓の外に目をやりポツリ、過ぎてしまった時間は戻せない……と呟いた。




「何で悪魔って呼ばれるんでしょうね……。イグルスさんやお兄ちゃんはただ大切な人を守りたいだけなのに……」

「運命に逆らおうとするからです。元々決まっている人の運命を、無理矢理変えようとするんですからね。しかも自分の魂を売るわけですし……」





魂を売る……

悪魔になれたらなんて安易に考えてみたけど、お兄ちゃんの事を考えると、簡単に口にしちゃいけないのかもしれない……






私はイグルスさんにお礼を言って、マンションを後にした。



向かったのは学校の保健室……

お兄ちゃん、約束守らなくてごめんね……
でも、先生ならまた違う情報を持ってるかもしれない。





後悔したくない。だからその為になら何だってする……!