次の日、私は学校をサボって1人でイグルスさんの所へ来ていた。
「あの……朝早くからすみません」
「構いませんよ。陵から話しを聞いたんでしょう?」
「……はい」
リビングのソファーに座ると、イグルスさんはコーヒーを出してくれた。
「あ、ありがとうございます」
私はカップを手に持ちながら、何て話しを切り出すべきかを考えていた。
「唯さん……先に1つだけ言っておきます」
「はい……」
「悪魔の契約は絶対です。どんな形であろうと、あなたが助かった瞬間に陵は消滅する……」
どこかで予想していながら、聞きたくなかった言葉。
改めて現実を突き付けられる。
「あの……もしも、なんですけど……」
私はいろいろ考えてみた事の1つを尋ねてみる。
「私が死んでしまったら、お兄ちゃんはずっと悪魔として存在するんですよね?」
「……エネルギーが尽きたり、ハンターに狩られたりしなければ」
「じゃあ、私が死んだ時にお兄ちゃんやイグルスさんからスカウトして貰って、悪魔になる事は出来るんですか……?」
イグルスさんは私のこの考えに驚いたようで、しばし口を閉じたまま私を凝視していた。
暫くしてイグルスさんの口から出た答えは、「解らない」だった……
