お兄ちゃんは悪魔サマ

 


と言うか、今、確実に自分からバラしたよね……?

普通、悪魔は存在を隠さなきゃいけないのでは?


『今まで会った事ないタイプ』


尚哉くんの言葉が思い出される。



先生は一体何の為に……?




「腑に落ちないって顔してんな。何か聞きたいか?」

「……どうして自ら悪魔だって解るような事、言うんですか?」

「面白そうだったから」



先生はニヤニヤと笑っていた

私には何が面白いのかさっぱり解らない……




「あの、悪魔をクビになったりしないんですか?」

「クビ?ならねぇな。一応優秀な悪魔様だし、ちょっと特殊な立場なんでな。クビにする事はあっても、される事はない」

「優秀な悪魔様って……普通自分で言う?」

「俺は特別」



そう言って更に私の近くに来る。

と、とりあえず逃げよう!

帰ってお兄ちゃんとイグルスさんに話さなきゃ……



私は踵を返して入り口へと走る。




「逃がさねぇよ」



出ようとしたドアに先生が居た。さっきまで私の後ろに居たはずなのに……


一瞬と言うよりは、むしろ刹那と言った方がしっくり来るかもしれない。

その間にそこに移動して来たのではなく、最初からそこに居たと錯覚する程だった……



「……なん…でっ」

「……その怯えた表情いいな。自分から足を開くバカ女どもより、よっぽどそそられる」




先生は入り口のドアにもたれたまま、白衣から煙草を取り出し吸い始めた。




「さて、どうやって責任取って貰おうかな」