お兄ちゃんは悪魔サマ

 


「失礼します」



放課後、英語の坂田先生に言われた通り職員室へと来ていた。




「おお、羽村。ちゃんと来たか」



ホントは来たくなかったけど……でも、サボったらそれはそれで後がめんどくさいから。

だから仕方なく……




「で、何を手伝うんですか?」

「これだ」



坂田先生からは数十枚の紙とホッチキス、ホッチキスの芯が手渡された。

一番上の紙には"合宿のしおり"と書かれていた。




「先生、これは?」

「テニス部の合宿のしおりだ」

「何でテニス部のしおりを私が作るんですか……?」



別に私はテニス部でも何でもない。ただの帰宅部なのだ。

普通ならテニス部員が作るものでは……?




「いや〜誰に頼もうか迷ってたんだが、ちょうどいい罰になりそうだったからな」

「ちなみに何部ですか……?」

「ざっと40位で」

「40……多っ……」



今日はお兄ちゃんとイグルスさんの話し聞くのに、早く帰りたかったのに……


私はため息を吐きながらコピー機に向かう。

そして、コピーを終えて紙を折っている最中だった。




「いたっ」



紙の端で指を切ってしまった。みるみるうちに切り口からツツーッと血が流れ出す。




「わわっ、紙に血がついちゃう」

「あら?大丈夫?あー切っちゃったのね。保健室で見て貰って来なさい」



私が作業していたのは、職員室の角っこにある作業台みたいな所。

隣に居た先生にすぐに気づかれてしまった……



保健室か……何か行きたくない。




しかし思ったより傷は深いらしく、血が滴り落ちる。

私は仕方なく、保健室に向かう事にしたのだった……