次の日、私は休憩時間を使って人気のない所に足を向けていた。
『俺と同じ悪魔とは言え、何があるか解らない。だから唯は何もするなよ』
今朝、家を出る時にお兄ちゃんには釘を刺されていた。
でもやっぱり気になって仕方ない私は、こうやって忠告もきかずにこんな所にいるのである。
「えっとここは音楽準備室か……」
ガチャガチャ
ここも鍵がかかっている。
他にもいくつか普段使われていなさそうな部屋に行ってはみたものの、どこも鍵がかけられていた。
「やっぱここもかぁ。えっと、あとこの辺りにあるのは……」
私が現在いるのは5階建て校舎の最上階。あるのは音楽室、美術室、書道室など。
放課後ならいざ知らず、昼休みなんかは殆ど人は見当たらない。
残り少ない部屋を確認すべく、廊下を歩きだしたその時だった……
「…………ァッ」
えっ?今どこからか声が聞こえた?
足音を立てないよう、静かに先に進む。
だんだんと聞こえる声が大きく……
「…ンッ…ァン……」
って、これは明らかにヤッてる声!?
その声は美術準備室から漏れていた。
さっさと立ち去ろうとも思った……が、少しの興味心が歩こうとする足を止める。
そういえば、悪魔にとってはエネルギー補給だもんね……もしかしたら何か解るかも。
なんて言い訳がましい事を考えて、少し覗いてみる。
不用心にも鍵はかかっておらず、ドアは簡単に開いた。
「ゃんっ…センセ、もっと……あっ…」
ドアを開くとより鮮明な声が聞こえる。そーっと少しの隙間から中を見てみると、おもいもよらぬ人物が目に飛び込んできた。
あれは……八城先生!?
目が離せなかった私。
一瞬、先生がこっちを向いた……
やばっ!!
慌ててドアを閉めてその場を立ち去る。
もしかして、目があったかも……
