「うわぁ~広いですね」
私は今、イグルスさんが住んでるというマンションに来ている。
32階建てマンションの30階、2LDKという1人暮らしには贅沢な部屋だ。
マンションの部屋の中はイグルスさんらしく、白と黒を基調としたモノトーンに統一された部屋だった。家具も最低限の物がシンプルに置かれている。
「突然ごめんな」
「いえ、構いませんよ。唯さんも一緒なのはびっくりしましたけどね」
「聞きたい事があって、無理言って連れて来て貰ったんです。すみません」
「いえ、いいんですよ。それより聞きたい事とは?」
私はお兄ちゃんと顔を見合せてから、話しだした。
尚哉くんにあった今日の出来事、聞いた話の全てを。
「知っています」
「……!?」
「ただ、詳しくは解りません。あくまで彼の存在を知っていると言うだけです」
やっぱりイグルスさんは知ってた……
でもイグルスさんから聞けた情報は、その悪魔は少し変わり者らしいという何とも曖昧なものだけだった。
「唯さんの学校ですね。明日にでも陵と一緒に行ってみましょう」
隣でお兄ちゃんが頷く。
私も何か出来ないかな……
やっぱり情報を集める事?それとも校内をくまなく探してみるとか?
2人だけに任せるのが何か釈然としなかった私は、1人で出来る事はしてみようと決めた。
