そんな毎日に少し嫌気がさしてきたある日。




「あー。今日夏期講習と通常授業で2コマ連続だぁーっ。だるいなあ」


「あたしもーっ。でも今日は中原先生の授業だから楽しみっ。」

私と一緒に塾に通う利奈子は、中原先生が好きだ。

彼氏もいたが、中原先生が好きだからと言って、最近別れた。

正直、7つも年が離れている人を恋愛対象になんて私は見れなかった。


だけどこの塾には先生が好きだという子が他にもいる。


「あっ!利奈子!真理!」


そういって駆け寄ってくる二人の女の子。


声をかけてきたのは、同じ中学に通う新藤陽菜。

陽菜は、文系の講師の大林先生に恋しているらしい。

塾にくるたび猛アタックしている。


陽菜と一緒に駆け寄ってきたのは、

山本比奈。

比奈は文系の講師の槙原先生に恋している。


私のまわりでは先生に恋している子ばかり。

していないのは私だけ。

この塾はどうなってるんだとたまに思ったりもするわけで。



「今から授業?」

比奈にそう聞かれて私たちはうなずきながら座席表を見に行く。

個別で、夏期講習なので席は一定せず、不定期に変わる。
講師もバラバラだ。

「誰?この先生」

「さあ?
新しいひとかな?」

「ふーん」