奈々に見送られて、俺は結婚式場の門を出た。
でも、俺はもう一度立ち止まって、奈々の方を振り返った。
「奈々!」
「なに?」
俺は、
かつては恋人だった、親友の奥さんに
とびっきりの祝福の気持ちを込めて、
この言葉を贈った。。
「お幸せに!」
その瞬間、涙ぐんだ奈々。
でも、俺はもう歩き出したんだ。
振り返らない。立ち止まらない。
「修二もお幸せに!」
背中側からそう聞こえた。
「誰と幸せになれってんだよ、ば~か。」
そう小さな声でぼやきながら、大きく片手を上げた。
奈々、
今度こそ、幸せんなれよ。
省吾はいいやつだよ。親友の俺が言うんだから、まじだからな。
省吾、
いつだったかどっちがいい嫁さん貰うかって話してたよな。
お前の勝ちかもな、今のところは。
だって、元恋人だった俺が認めた女だからな!