―――――――――
シルバーとグリーンのツートンカラーの列車。
朝の通学ラッシュ。
ギュウギュウと人に揉まれながら、俺はようやくドアに背を着けた。
こうしなければ、降りたい駅で降りれない事をよく知っていたし、一番バランスを取りやすいからだ。
入学してすぐの頃は、間違えて反対側の扉にいたから、降りれず遅刻してしまった。
3年も通ったかいもあり、手慣れたもんだな。
『瑛太ー、おはよー』
同じクラスの奴らが、こちらに気付き、手を振る。
しかしすぐに人込みにのまれ、見えなくなった。
『あー、すごい人だね〜』
と、俺の隣にピョコっと現れたのは、同じ制服を身に纏(マト)った……
『葉月!』
『おはよう、瑛太くん』
葉月はニコッと笑い、よろけながら扉に体を預けた。
『懲りねーなぁ。 また痴漢でもいたらどうすんだよ』
『だから、瑛太くんのとこに来たんだよ?』
あまりに無邪気に笑うから、怒れなくて……
俺が守らなきゃ、みたいに思えて……
葉月の体を抱き寄せた。
『なぁに? 痴漢よけ?』
『……まぁ、そんなとこ』
会いたかった。
会いたかったよ。
会って、葉月の笑顔が見たかった……
『好きだよ……葉月……』
『え? 騒がしくって…… 何か言った?』
『何もねぇよ……』
俺に何が出来るだろうか。
何をしてやれるだろうか……
この葉月の笑顔、守ってやれるだろうか……

