なんなんだろう。


一体、わたしに何が起きたというんだろう…


「…ボケッとしてないで、さっさとこの問題を解け」


相変わらずの冷たい物言いだけど、思わずにやけてしまう。


部活の朝練が始まる頃、わたしは今は使われていない空き教室でノートと参考書に囲まれながら幸せな気分でいた。


嘘みたいだけど、あの三上くんが今、わたしのそばにいる。


「…やる気がないならやめるぞ?」


「いやいやいや!!やる気、あります!!!」


三上くんの目が細められるのと同時に、慌てて数学のプリントへ目を移すわたし。


「…こんなん、いつ習ったっけ…?」


おそるおそる窺うと、案の定呆れた様子の王子…。


「予想以上に、骨が折れそうだ…」


その言葉にいやに実感がこもってる。