「三上……オニだ……」


昼休み、中庭でお弁当をつつきながら、早速報告をした時のリンリンの第一声がこれだった。


案の定、ふーっと重い空気が漂う。


「で、でもさ、ちょっと進歩してない?会話になってたし」


この三ヶ月間、一方的に挨拶することがやっとだったわたしが、はじめて存在を認められたわけで…


水本って名前を呼ばれた時は、ほんとに溶けるかと思った。
(フラれた時とはいえ)


しかしリンリンはもはや呆れを通り越して、疲れたようにツッコんだ。


「…ばっかじゃん。初めから無理だってわかってるから、そんな条件出してきてるんでしょ」


うぐ…


「で、でも…」


「しかも―――」


リンリンはビシッとわたしに指を突き付けると、


「なんかの奇跡か天変地異で聖がヤツの成績を上回ったとして、ただ話を聞いてくれるってだけ。付き合うとかならまだしも、ね」


リンリンに言われて、三上くんの凍りの視線が蘇ってくる。