話など聞いてられない。隣で話している先輩の話を聞かなければいけないのに、意識は他の所にばかりいってしまう。
(う、う、う・・・どうしよう・・・。)
力を込め続けた。
しかし、そんな六郎をあざ笑うかのように、冷気が容赦なく襲ってくる。
(も、もう膀胱がパンパンだよ。)
天井を見たり、目の前にあるテーブルを見たり、なんとか気を逸らそうとした。でも、そんな事をしても、状況が一転するはずもない。
「どうかしましたか?」
この会社には幾度か来た事があった。だからだろう担当者が、気になり声をかけてきた。
「あ、いや、大丈夫です・・・。」
大丈夫な訳がない。ただ、先輩の邪魔をしてはいけない。その気持ちが、六郎にこんな答えを言わせてしまった。
ふと壁に掛かっている時計に目をやる。いつもと同じ一秒のはずが、恐ろしくゆっくり動いているように見える。
(あの時計、壊れているのか?)
まるで、異次元にでもいるかもような錯覚に見舞われた。しかし、今、ここにいる事。それは現実だ。
六郎が時計を見ている間も、先輩は話し続ける。なぜ、こう言う時に限って、商談がどんどん進んでいくのだろう。いっこうに話が終わる気配がない。さっきの会社など、五分で終わったと言うのにツイてない。
(あぁ、いつになったら終わるんだよ。)
こんな風に思える時は、まだ良かった。ここから本当の地獄がはじまった。
(う、う、う・・・どうしよう・・・。)
力を込め続けた。
しかし、そんな六郎をあざ笑うかのように、冷気が容赦なく襲ってくる。
(も、もう膀胱がパンパンだよ。)
天井を見たり、目の前にあるテーブルを見たり、なんとか気を逸らそうとした。でも、そんな事をしても、状況が一転するはずもない。
「どうかしましたか?」
この会社には幾度か来た事があった。だからだろう担当者が、気になり声をかけてきた。
「あ、いや、大丈夫です・・・。」
大丈夫な訳がない。ただ、先輩の邪魔をしてはいけない。その気持ちが、六郎にこんな答えを言わせてしまった。
ふと壁に掛かっている時計に目をやる。いつもと同じ一秒のはずが、恐ろしくゆっくり動いているように見える。
(あの時計、壊れているのか?)
まるで、異次元にでもいるかもような錯覚に見舞われた。しかし、今、ここにいる事。それは現実だ。
六郎が時計を見ている間も、先輩は話し続ける。なぜ、こう言う時に限って、商談がどんどん進んでいくのだろう。いっこうに話が終わる気配がない。さっきの会社など、五分で終わったと言うのにツイてない。
(あぁ、いつになったら終わるんだよ。)
こんな風に思える時は、まだ良かった。ここから本当の地獄がはじまった。


