お大事にしてください

「ほら、これでも飲め。」
角を曲がった所に、自販機があった。そこで冷たいコーヒーを買い、先輩は差し出してくれた。
「はぁ。うまい。」
「そっか、良かったな。じゃ、もう一社行くか？」
先輩の言葉を止め、六郎は財布を取り出した。
「すみません。あと一本、あと一本飲まして下さい。」
よく見ると、スーツの上着にまで汗が染み出している。それを見るとダメとは言えなかった。
「わかった。一本だけだぞ。すぐ、飲めよ。」