おっちょこちょいな性格が治る事はない。家で、学校で、幸は何かにつけて小指をぶつけていた。ただ、ポケットにはいつもあの薬があった。
誰でもあの小指をぶつけた時の痛みは嫌なものだ。幸が薬を忍ばせるようになるのも当然だろう。ぶつけては、飲み込む。それが癖のようになっていた。