上海人と言えばプライドが高いことで有名だ。中国人の間でもあまり好かれていないらしい。お金が大好き(イコールけち)で、人の持ち物は、すぐに「それいくら?」と、聞いてくる。
 北方出身の友人に言わせると、地下鉄やバスに乗っても、みんな表情が冷たいという。私は日本よりだんぜんマシだと思うけど、確かに乗り物に乗るときは怖い。地下鉄では、いつも椅子取り合戦だ。電車が近付いてくると、みんなの目つきが険しくなる。降りてくる人などおかまいなしに、扉に一目散に駆けていく。座れなくても、日本のようにバツが悪そうにする人もいない。
 交通ルールもめちゃくちゃだ。上海人は、信号など見たこともない農村から出てきた人が、ルールを守らないんだ、と言うがそうとは限らない。信号があっても、道路を渡るときは細心の注意をはらわなくてはいけない。私はいつも息子に、「上海でいちばん危ないのは、道路をわたるとき」と教えていたぐらいだ。

 上海の男性は、「主夫」と呼ばれている。料理はもちろん、掃除から子供の世話までひととおりこなす。朝、買い物かごを提げて道端で立ち話、なんていうのは当たり前の光景だ。もちろん全ての男性がそうではないけれど、上海では男が家事をするのは、ちっとも珍しくない。それに女性にとても優しく尽くしてくれる。これには、上海の女性が気が強いという理由があるのだけれど。中国の他の地域の人は、よくこう言う。
「上海の男はなよなよしてる。あんなの男じゃないよ。」
 そう?案外、理想の結婚相手だったりして。

 あと、上海人と言えばけんか好き。街のあちこちで見かける。たいていは口げんかだが、かなりエネルギッシュ。たぶん原因は些細なことだと思うけど、興奮してだんだんエスカレートしていく。私はいつも思う。この人たち、ストレスを発散させるためにわざとけんかしてるんじゃないの。しまいに取り巻きでいっぱいになるが、彼らは止めるでもなく見て楽しんでいるだけ。

 お世辞にもかわいい性格、とは言えないこんな上海人。でも、最近よく街中で見かけるのが、
「かわいい上海人になろう」
というスローガン。2010年の世界博覧会を意識してのことだろうか。見るたびに私は心の中でつぶやく。
(そら、ムリやろ。)