食べ物はどうかというと、中華料理は油を多く使うので、長期滞在で外食の多い人は胃腸をこわすことが多いが、息子がいるおかげで、私はほとんどの食事を家で摂り、たまの外食でも、全てがおいしいと感じられた。息子も、幼稚園の中華式給食を問題なく食べていたようだ。
 私はもともと胃腸が弱く、日本ではほぼ毎日腹痛を起こしていた。ところが、上海に行くとお腹の具合がいい。体調がよく、偏頭痛もしなくなっていた。
 上海で私たちは初めて、「日本豆腐」なるものを食べた。何と説明すればいいんだろう?揚げ出し豆腐の小さい版。それが豆腐なのかどうかわからないが、一口サイズのそれを揚げた上に、あんかけのだしがかかっていて、下には野菜がしいてある。中国東北の料理と聞いたが、結構ポピュラーなおかずらしく、たいていの店のメニューに載っていた。日本とどういう関係があるのか知らないが、「日本豆腐」は私の好物のひとつになった。

トイレ
 中国のトイレと聞くと、ドアがない、と想像する人も多いだろうが、幸い上海ではそのようなトイレにお目にかかったことはない。しかし。人口が多いせいか、マナーが悪いせいか、スーパーや百貨店のトイレはいつも不衛生だった。
 それに扉があるのに開けっ放しだったり、閉めてもカギをかけなかったり、カギが壊れていたり。中国の和式トイレは日本と逆でドアの方に向かって座っている。知らずに開けて気まずい思いをするのは、いつも私のほうだった。彼女たちは、悲鳴をあげるでもなく、文句を言うでもなく、何の反応もない。
 トイレのついでにおしりの話もしよう。中国では、おむつをする習慣があまりないのか、ほとんどの幼児が「しりわれズボン」をはいている。その名の通り、ズボンの後方に大きく切れ目が入っている。したい時にすぐ用が足せるようになっているのだ。結果、中国では、トイレトレーニングに頭を悩ますママが少ない?らしい。話には聞いていたけど、まさか大都市の上海でもお目にかかれるとは思っていなかった。特に珍しくもないらしく、あちこちで見かけた。私は小さい子供を見かけるとすぐ、おしりをチェックしてしまう。息子と「おしり、出てる?あ、出てる、出てる。やっぱりはいてるんや、しりわれパンツ。」と、いつも二人で釘付けになっていた。